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ハノイのはちへお。

from Hanoi, Vietnam

Сделано в СССР

一体このタイトルは何事かと。


まさかこのブログの記事のタイトルが、キリル文字で埋めつくされる日がくるとは…!!
英訳すると、『made in USSR』。『made in Union of Soviet Socialist Republics』、つまり「ソビエト連邦製」ということ。

共産主義を標ぼうする(していた)ソビエトとベトナムの友好関係は今ここで語るまでもなく(というか語る脳がない)、ある人は「ソ連はベトナムの父、中国はベトナムの兄、キューバはベトナムの友」と言いました。
しかし中国とベトナムに関しては、その兄弟関係はカインとアベルの如く。先述のある人は、「中国はベトナムを殺そうとしている」とバッサリ。反中感情を目の当たりにした瞬間でした。



まあ中国はどうでもいいんです。ソ連です。



一昔前までベトナム人にとってメジャーな外国語はロシア語でした。
うちの大家さん夫妻も、実はロシア在住経験があり、特にご主人はロシア語通訳・ガイドもしており、あのモコモコ帽子を被った写真も見せてもらったことがあります。
昔からソ連へと赴くベトナム人は多く、現在も旧共産圏に行けばベトナム人と遭遇することは珍しくありません。

…少なくとも私は会いました。


そんな関係もあって、彼の地から流れ流れてきたソ連製のものは存在し、その中でも特に外国人に好まれているもの、それが旧ソ連製のアンティーク時計なんです。

ソビエト連邦で時計の製造体制が整ったのは、スターリンが国の工業化を目指して始めた5ヶ年計画により、大規模な時計工場が整備された1930年前後のこと。おそらく10にも満たない工場で造られていたのは手巻き式の時計で、国内流通用のものと、外貨獲得を目的とした海外輸出用のものとがあり、海外輸出用のものには『made in USSR』、国内流通用のものには『Сделано в СССР』と表記され、区別されていました。
中でも有名なメーカーが「Восток(ボストーク)」、「Cлава(スラバ)」、「Paketa(ラケタ)」、「Полёт(パリオット)」…


…ってさらっと出てくる我が夫すごいと思いませんか?


そう、我が夫はソ連製時計のコレクター。


ある日旧市街をぶらぶら歩いていた夫は、たまたま店頭に時計がだだだだだと並んだお店を発見。そのときは「何ここおもしろーい」と思っただけだった。しかし、後に「どうやらここの時計は他で売っているものと違うらしい…」と気付いた夫、そんだけ並んだ時計の中で、1つの懐中時計を迷いに迷った末購入。ちなみに背中を押したのは私。
そしてそこから夫のコレクターとしての道は始まったのです。無駄な装飾を排除したシンプルなデザインは、それは美しく、夫の心を(時々私の心を)奪ったのでした。


以後、週末になれば何かにつけそのお店を覗きに行き、「次の給料日はこれを買うんだー」が口癖になった夫。夫が買うものは決まって『Сделано в СССР』表記のもの。「国内流通用のものの方が数が少ない、貴重!」とのこと。なるほど。
ちなみに、旧ソ連製時計のブランド・シリーズ一覧はこちら(英語)→

夫コレクションの一部。「РАКЕТА(ラケタ、右から2番目)」が美しい…!!私が夫の持っているものの中で一番、というか唯一欲しいのがこの「ラケタ」。まあ貰えないけど。
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私も実はいくつか所持しております。てか、今日またひとつ買いました。

「ЗΑΡЯ(ザリア、ザリャー)」、その名も『夜明け』というメーカーの時計です。もちろんソ連国内流通用。
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バンドも旧ソ連製の布テープ。
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「ザリア」はミンスク時計工場で50年代から60年代に、ペンサ時計工場では1949年から製造されていた、パリオット社のシリーズのひとつで、主として女性用の時計を販売していました。現在はロシアの大手時計メーカー・MakTimeによって同名ブランドの時計が製造・販売されています。

この「女性用」っていうのがネックなのか、あまり情報がないんですよね…。あまり女性の時計コレクターって聞かないしねえ。ザリャーで検索すれば宇宙ステーションが出てくるし。


こちらは私のファースト・ソ連製、「Cлава(スラバ)」!意味は『栄光』。この文字盤の色とフォントの可愛さに釣られて買いました。もちろんソ連国内(ry
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ちなみに、目覚まし時計もあります。

スラバ(輸出用)。
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メーカー不明。
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これらのアンティーク時計、私たちは旧市街のTạ Hiện通りで買っています。
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Tạ HiệnとHàng Buồmの交差点から少し入ったところにある、「Giangさんの時計屋さん」。並んでいるのは文字盤だけだけど、購入するとバンドを付けてもらえます(別料金)。
以前Sketchに載ったこともあるお店です。しかし一時期は売るほどあった時計も(いや売ってるんだけど)在庫僅少。しかも最近は9割方海外輸出用になってしまいました。
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店主のGiangさん、以前「もうすぐ店閉めて外国行くんだよー。え?どこって、日本だよ日本!」と言っていた。さすがに「外国行く」まして「日本」は冗談だと思うんですが、「店閉める」はリアルすぎて反応に困った…あれから1か月、とりあえず今日もGiangさんはお店を開けていました。
「ザリア」を選んだ私に、Giangさんはちょっと嬉しそうな笑顔を見せてくれた。

見れば以前より増えた商品の中に、この「ザリア」以外で国内流通用のものは見当たりませんでした。
間違いなくソ連製の時計が好きでやってる商売、まして数の少ない国内流通用となれば愛着も強いはず。
滅多に見せない彼の笑顔に、もう完全に想像の範囲内でしかないけれど、「おお、これを選んだかー!見る目あるなー」と誉められた気分になりました。
夫についてくるだけで、滅多に買うことのない私が買った、というのも大きいとは思うけど…。ソ連製のバンドを付けてくれたの、嬉しかったなあ(普通は革バンド)。


すでに2、3年前からこのお店に通っている我々夫婦、というか夫。しかし今までブログに書いたことがなかったのは、ジャンルとしてマイナーすぎるから、ではなく、「私たちの欲しい時計が他の人に買われるのが嫌だから」。しかし商品のほとんどが海外輸出用になったのを見て、これはもう載せてもいい時期が来た、と思った私はもちろん性格が悪いのです。でも海外輸出用だってデザインは変わらず美しいし、また国内流通用も決してゼロではないので、こういったものがお好きなら、宝探しをする気分で行ってみてはどうでしょうか!

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