ハノイのはちへお。

from Hanoi, Vietnam

カレーの顛末。

東南アジア某国から友人がやってくると決まった時に、私が彼女に頼んだものがあります。
それがこれ。


見る人が見れば、友人の居住国が分かるわけですが。そう、彼女はタイからやってきた。
バンコクのショッピングモール・パラゴンの、地下(だったっけか…)にある、スパイス・ストーリーのカレーパウダーです。前回日本に帰った時に母にもらったチキン料理本に、和風カレー丼のレシピが載っていたので、それを作るために買ってきてもらったのです。
実は私、12月に夫婦でバンコクへ行くので自分で買うか…とも考えたのですが、いやいや待てへん。

もちろんハノイでもカレーパウダー売ってます。でもちゃんとしたお店で買うと高いし、スーパーで買うと怪しいおじさんが怪しく笑ってるし、そもそも味もどんなものか分からないので、そこそこ日本人受けのいいスパイス・ストーリーならきっと大丈夫!という判断しました。持つべきものは友人です、感謝感謝。


で、昨日カレー丼の製作にとりかかりました。カレー好きの夫も、早く帰ってきて夕食を共にするという(いつも別々)。
カレー丼の材料は、和風だし・長ネギ・しいたけ・砂糖・みりん・醤油・カレー粉・水溶き片栗粉。
片栗粉がなかったので、買いに…は行かず、「ま、スープカレーっぽくすりゃいいや」で終了。




そして1時間後。



私はフライパンを前に呆然としていました。




まずい。




まずいのです。




カレーがまずいのです。




こんなことがありえるんでしょうか、カレーが不味いのです。




何しろ味に深みもなければスパイシーさもなく、というか何なら味がない。強いて言うならカレー粉の苦みだけ。
これはどうしたことか。これは「人間には好みがあって」という一言で片付けられるレベルではない。

私はこの本には絶大なる信頼を寄せていて、そりゃちょっと甘いな、って感じることはあっても「美味しくないもの」ができたことなど一度もなかった。

何が悪かったんでしょう。
豚肉を使ったのが駄目だったんでしょうか。
豚肉の臭み消しにふった酒がクラッシャーだったのでしょうか。
材料を炒めるときに、間違えてバターではなくサラダオイルを使ったのが駄目だったのでしょうか。

でもどれも致命的なミスとは思えません。


私は焦った。何しろ我が夫は無類のカレー好きなのです。「たま弥」のカレーを食べては私に「オーナーにCoco壱的なカレー専門店をやるように言え」とけしかけてくるような男なのです。「今日カレーだよ」と言えば万難を排して家で食事する男なのです。「カレーまだある?」という問いかけに、「あ、もう全部食べた」と答えようものならリアルに「(´・ε・`)」って顔をする男なのです。


やるしかない。私はスープカレーのレシピを検索し、何か足せるものがないか模索しました。


結果、酸っぱくなった\(^0^)/オワタ
大誤算です。何が大誤算って「ケチャップを何の疑問も考えも持たずに入れた」ことがです。ああもう!!この酸味しかない黄色い液体は何なの?!


ここで夫に電話して、失敗した旨と、外で食事を済ませるように言いましたが、それでも夫は家で食べるという。
怖いもの見たさなのでしょうか。それともカレーと名のつくものであれば何でもいいのでしょうか。あほなのでしょうか。何度も「食べるな」という私に、「いや帰って俺はそれを喰う」という。


万事休す。
私だってまともな感性を持った1人の主婦です。朝から夜まで働いて、疲れ切った夫の体にこんなものを流し込むわけにはいかないのです。それは女として、主婦として恥ずかしい行為でしかない。
かといって今目の前にあるものを全部捨てて最初から作り直すなんて、それもあってはならないことです。


私は一瞬無になりました。そして目の前のものに足りないものを、もう勘で、全部足していくことにしました。
∩(´・ω・`)つ―*'``*:.。. .。.:*・゜゚・* もうどうにでもな〜れ

もうすこしまったりしてもいいから、バターを入れよう。
水分が減ってきたから水を足し、ウェイパーを入れよう。なぜならもう和風だしがない。
水を足した分、カレー粉と醤油を適当に足そう。
スパイシーさが足りないから、チリソースを入れよう。
もう何でもいいや、インスタントのカプチーノも入れてしまえ!!!!



結果、


天使が舞い降りた!!!( ゚Д゚)ウマー



そう、何とかなったのです。意外にいける味になりました。というか美味しくなった。
夫が「これまた作ってー」とリクエストしてきたぐらいの味になったのです。夫の舌のレベルを疑うなかれ、彼はカレーには超うるさい。


結局何が良くて何が悪かったのか一切分からなかった昨日のカレー。ただ夫が「また作れ」というので、とりあえずメモだけはしておこう、ということで。