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ハノイのはちへお。

from Hanoi, Vietnam

鋏を入れるなんてどうしてできるだろう、この糸に、布に。過ぎていったあの人たちの時間に。

Zone 9には4つの建物があり、その内のひとつ、A棟の2階に、日本人デザイナーがオープンさせたお店があります。
A棟はTran Thanh Thongの9番にある入り口(バス停の向かって右側)から入り、ちょっと行った先の左手にある建物。ちょっと分かりづらいのですが、玉砂利というかただの石が敷き詰められた薄暗い小道があって、そこを奥に進んで左に曲がると階段があります。

ここの階段は結構危ない感じがするので、手すりにもたれかかったり、駆け下りたりはしない方が無難だと思います。また廊下も窓ガラスがなかったりするので、一人歩きできるお子さんを連れて行くときも注意です。


階段を上がって、右手にあるガラスドアの向こう。


『Cattan』


先に書いた通りこちらのお店、日本人女性がデザイナー兼オーナー。インド製の素材を使った衣類やバッグ、小物などを販売しています。商品はすべてハンドメイド。

こちらで一目惚れし、マネキンから剥がして買ったのがこちらのストール。

手織り、手刺繍。糸も手染めなんだそう!ベトナムで作ったのかなと思ったけど、どうなんだろう。産地を聞いておけばよかったな。

他にワインレッドやブラックもありました。ただし同じ柄はナシ。つまりは一点もの。


ああ素敵!
土曜日に行ったときにはいらっしゃらなかったオーナーさんにも、後日再訪したらお会いすることができまして。
上の写真のストールは、最初はポンチョなどに縫い直そうと思っていたらしい。でも、糸を染め、手で織り、刺繍を刺していくその過程をすべて見て、とてもじゃないけどこの布に鋏を入れるなんてできないと、ストールの状態のままで売ることにしたそうです。

分かります!それは良くわかります。私だって家に何枚かある織物やバティック、何度スカートやバッグにしようと考えたことか。でも何度考えても、その考えを実行することはできない。
布を見つめていると、この刺繍するのにどんだけ時間かかったのかなとか、目が疲れただろうなあとか、地面に座って織るのは腰に来そうだなあ、冬は冷えるだろうなあ、これを描くときってものすごく集中するだろうし体力使うよなあ、これを作った人の手はきっと赤く、黄色く、青く、黒く染まってただろうなあ、…とか色々考えるんですよ。

特に手織りをしている現場を何度か見たことがあるから、あの決して平易には作り上げることのできない1?1?が積り重なってこの1m以上の布になったんだとか思うと、さてその仕事にただお札を何枚か出しただけの私に、それを切り刻む権利があるのだろうか、なんて思ってしまう。糸が布になるまでって月単位で時間がかかったりするんです。

そして何よりそうして作り上げられた布はとても完璧なバランスを保っていて、それをわざわざ崩してさらにまた納得のいくバランスを構築するなんて、それは作り手に対するあまりにも無謀な挑戦であるようにも思える。

でもそうやってできた布を、ただ家に置いておくだけっていうのはもったいないし、そもそも使うの前提で作られたものなのだから、「自分の使う形」にすることだって正しいんです。これはもう個人の感覚の問題です。オーナーさんも、「お客様が例えばポンチョにするとか、何かしら手を加えるのは、もちろんそれは自由。ただ私ができなかったというだけなので」とおっしゃってたし。

それに、いっそ形を変えて頻繁に使った方が、私みたいに後生大事に置いておいた布にヤモリが糞を落としてたなんて悲劇を味わうこともないと思うよ!!・゚・(ノД`)・゚・


それにしても私は最初、『Zone 9』の存在について懐疑的だったのですが、いざ来てみたらどうだろう、建物に惚れ、食べ物にもいい印象を持ったし、駄目押しでこのお店との出会いがあって、ああ嫌いになる理由がない!


(A棟と、B,C,D棟はこの建物の脇、らせん階段の場所にある道でつながってます)

転落事故と火事が立て続けに起きたことで、世論の反発も招き、さらに入居予定だった人の中にも出店を取りやめてしまった人もいると言います。特にベトナム人にはまだ迷信を信じる人が多く、まして商売をするとあれば、「何か憑いているんじゃないか」とわずかでも感じられるような場所は避けるのが常です。
建物の安全性に関しては、この場所を選んだ時から、そしてこれから先ずっと付いて回る命題のようなもの。そこの部分をクリアし、人々を納得させることができないのであれば、閉鎖もやむなしとは思います。ただやっぱりこの空間が貴重なものであるのも間違いないのです。
レトロブームをブームで終わらせるのではなく、旧さと新しさをうまく同居させた上で、この先時間と共に発展させていく。この古い建物が次々と失われ、単調なオフィスビルが日増しに増えていくこのハノイで始まった新しい挑戦を、易々と潰してしまうのはやはりもったいないと思います。



ところで『Cattan』では12月5日(木)から8日(日)までの4日間、クリスマスセールを行うそうです(Vetter誌上に出た広告では6日からとなっていますが、5日からが正しいそうです)。この機会に『Zone 9』や『Cattan』、その他カフェやバーなど気になってたけどまだ行っていないという方は行ってみてはいかがでしょうか。


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当初記事タイトルを「『Cattan』で何買ったん?」にしようとおもったのですが、やめてよかったと今強く思います。((((;゚Д゚)))サムッ