Ru Mai Ngan Nam 2012
一昨日、すでに9年の付き合いにならんとしている恩師と一緒に、久々のベトナミーズ・コンサートへ。
実に1月2日以来。かな?
歌の神様に愛された4人(Thanh Lam, My Linh, Anh Tuyet, Hong Nhung)と、サクソフォン(Tran Manh Tuan)の競演。贅沢な2時間半でしたー。
歌声の凄さに思わず泣きそうになったのは、Anh Tuyet。ベトナム国歌を作った音楽家であり、画家、そして詩人でもあったVan Caoのミューズ。
Anh TuyetがVan Caoのミューズとなったのは、彼自身の曲をクローズアップしたコンサートに、たまたま出演していたAnh Tuyetの歌声を聴いたVan Caoが、「自分の曲をここまで自分の意図通りに表現する歌い手がいたとは」と、喜びのあまり涙を流した、そのときでした。
この話を、私はコンサートが終わって帰宅後に、Wikipediaで読んだのですが、さもありなん。
彼女の歌声には情念が込められていて、私はいつもコンサートでは写真を撮りまくるのですが、その凄味に圧倒されて、手をあげることもできなかった。
Van Caoの名曲のひとつに『Truong Chi』という歌があるのですが(訳語分からず…)、
その歌詞を理解し、よりよく歌うために、彼女は音楽家の元を訪れた。
椅子に座り、それぞれが飲み物の入ったコップを前に、一言も話さないまま2時間が過ぎ、
「…Truong Chiとは、何でしょうか」
彼女はそう尋ねた。
音楽家の顔を、窓から差し込む日差しが明るく照らしていた。
そしてまた、互いに沈黙したまま1時間が過ぎたころ、たった一言、音楽家は答えた、
「Truong Chiとは、私だよ」と。
この話がAnh Tuyetによって語られた時の、ぞくりとした感じは、これからも忘れないと思う。
やはり、作り手と時間を共有した人の話を聞くことほど心を動かすことはない。
私がHong Nhungの出るコンサートにできるだけ行くようにしているのは、Trinh Cong Sonについて彼女が語るのを聞くのが好きだからです。
ところで今回のコンサートは、Van CaoとTinh Cong Sonにスポットをあてたもので、Anh TuyetはもちろんTrinh Cong Sonの曲も歌ったのですが、やはり素晴らしい、の一言。
感動が極まると、言葉が思い浮かばないわー。
これが今年行く最後のコンサート。Tuan Ngocに始まり、この4人で終わる2012年。悔いなし!