「井戸のほとり」のピラミッド
カンクンに行くとなれば、必ず行程に組み込まれるであろう場所、それがチチェン・イツァ。
こんなこと言うのもなんですが、実はカンクンって退屈だったりする。よっぽど海が好きだとか、よっぽどお金が余ってるとかでもない限り、カンクンで思いっきり遊ぶのは無理です。ほんとに、海がるだけの、物価がやたら高い街。
なので、海をこよなく愛しているわけでもなく、さらにお金もそんなにない私は、当たり前のようにチチェン・イツァに行ってきました。もっとも、カンクンがどういう街かを知る前から、チチェン行きは決まっていましたが。
で、チチェン・イツァって何なのよ、と。
元々は6世紀より栄えた、マヤ人によって築かれた宗教都市で、8世紀に一度歴史から姿を消すも、10世紀半ばに再び繁栄を迎えました。この「失われた200年」により、チチェン・イツァの遺跡は「新チチェン」と「旧チチェン」に分けられています。
今回の旅のメンバーは私、Tちゃん、セニョール、Tちゃんの友人・Sの4人。
それぞれ事情により予定通り起きることができなかったのもあって、今回は新チチェンのみ、それもさくっと見ていくことにしました。
天候は晴れ。カンクンから車で3時間、駐車場に車を停めて、お土産屋さんの並ぶ道をちょちょいと進んでいきます。
あ、ピラミッド。
…何だかえらくあっさり書きましたが、ほんとに唐突にピラミッドが見えてきます。こう森を抜けるとか、入り口からやたら歩くとか、そういったワクワク感を演出する物は一切なし。
1988年に世界遺産に登録されているチチェン・イツァ。
こちらのピラミッドは、マヤ文明における最高神・ケツァルコアトル(マヤ語では「ククルカン」)を祀るピラミッド、「カスティーヨ」。「ククルカンの神殿」とも呼ばれています。
それぞれの面には91段の階段があり、その階段を登った頂上には神殿が置かれています。この91段×4面に、神殿の1段を足すと365段。さらに、ピラミッドの斜面は9層に分かれており、これが中央の階段によって分断されているため、9×2=18。
これはマヤ暦の1年を表していると考えられています(マヤ暦では、1年=18か月=365日)。
カスティーヨの別の面には、階段の下に蛇の頭がついています。
この階段では、年2回、春分の日と秋分の日に、太陽光によってうねうね曲がった光の帯ができ、頭部とつながるのだそうな。ケツァルコアトルが地上に舞い降りる、という演出。自然と人の手が織りなす奇跡。
ちなみにこの蛇の頭のある面で、思いっきり手を叩くと、ピラミッドの上の方で「ぱきょん、ぱきょん」という音が響いて面白いです。これ、蛇の鳴き声なんだとか。お試しあれ。
こちらのカスティーヨ、2007年に万里の長城やタージマハルなどと共に新・世界の七不思議に認定されております。
ついでに、我らがベトナムの誇る世界遺産・ハロン湾も2011年に新・世界の七不思議自然版に認定されておりますよー!
こちらは球戯場。
ここで行われていたのは、サッカーに近いチーム競技。壁の上部に付いた輪っかに、手を使わずにボールを通すことができれば得点!というもので、勝ったらそのチームの大将が生贄という、若干シャレにならない競技でした。
(勝利したチームのリーダー《右端》の首が切り落とされ、噴き出た血が蛇になったところ)
現代ではものすごく理不尽なこの仕打ち。ですが、当時は「生贄になる=天国行きが保証される」と考えられており、非常に名誉なことだったそうです。そう、争いの末に勝ち取らなければならないほどに。
この球技場にある神殿に向かって音を出すと、背後からやまびこが返ってきます。お試しあれ。
生贄の首が並べられた、骸骨のレリーフ入り祭壇…祭壇?
角の部分だけ、骸骨が正面向いています。
戦士の神殿。敵の捕虜の胸を生きたまま裂き、取り出した心臓を太陽に捧げた、という…ヒィィィ
千本柱の回廊。実際には220本ぐらいしかないって…
ジェニファー・ロペスがここで、PVを撮影したことがあるそうです。
カスティーヨのあんまり綺麗じゃない面と、ベース、そして寛ぐイグアナたち…
そう、爬虫類好きには朗報です、チチェン・イツァはイグアナの宝庫でした!
ここで遺跡観光は強制終了。だって私たちには時間がないんですもの!あと3か所も行くところがあるのに、この時点でもうお昼近かったんだもの!!
そんなこんなで、お土産物屋さんを冷かしつつ、駐車場へ戻って、再び移動です!
つづく。