ハノイのはちへお。

from Hanoi, Vietnam

そうだ、奈良行こう。奈良の地酒という選択

いつも必ず京都に行くんですが、今回は趣向を変えて、奈良です。

奈良はいつも行こう、行こうと思ってはいた場所で、しかし我が家から快速をうまく乗り継いでも2時間かかるのがネック…って多分京都も変わらないよね?あれ?
何だかんだでもう数年行っていなかった奈良。大学を出てすぐに友人と行ったのが最後。そんな奈良に「今度こそ行こう!」と思ったきっかけ、それは。




酒!!!




Facebookに友人が投降した1枚の写真、梅乃宿の『山風香』。
非常にすっきりした味わいの美味しいお酒だ、というコメントが添えられたその写真に食いついた私は、梅乃宿が奈良の酒蔵であることを初めて知ったのです。調べてみれば奈良には多くの酒蔵が存在しておりました。

実は最後に奈良へ行ったのも酒蔵へ行くのが目的でした。そのとき行ったのは今西清兵衛商店で、お酒はその名も『春鹿』。こちら、大学時代にゼミの飲み会で初めて飲み、その美味しさに衝撃を受け、私がベトナムへ行く前に行くぞー!と友人と2人で行ってみたのです。
こちら、数百円で5種類のお酒の試飲が可能。お猪口を一つ買って、それで飲み比べするんですが、このお猪口が涼しげなガラスのお猪口で底に鹿の絵がそっと浮かび上がっており、奈良の思い出として持ち帰るのにぴったり。


ああ、あのとき楽しかったなあ、奈良で酒蔵巡りもいいなあ、でもお伊勢さん参りもしたいなあ、とFacebookに書きこんだら奈良県民の友人が食いつき、三重県民の先輩が「やっぱ酒蔵でしょ!」とリプライをくれたので、「よし、奈良行こう!」と決定。そして奈良県民とも5年ぶりの再会を約束しました。
友人が「奈良の地酒がたくさん試飲できるこんなお店がありますよー」と教えてくれて、「よしじゃあそこ行こう」と即決、行ってきました。


当日は30℃を超える暑さ。


京都と同様、名刹の多い奈良。しかしやはり地味な印象はぬぐえず、約束の時間よりかなり早めに到着した私は暇をつぶす自信がなかったのですが、いやいや奈良、意外にもオシャレなショップが多く、本屋で可愛い奈良グッズを買ったりして歩くのがとても楽しかったです。蚊帳ハンカチとか。


「あ、どうも」


「愛想売って生きてますー」

こちらの猫、あぶらとり紙専門店『ひより』さん出身。三毛猫、黒猫もいるよ。


さて近鉄奈良駅で友人と落合い、「すきっ腹に酒は毒だから」とうどんをすすってから、やって参りました!

『奈良酒専門店 なら泉勇斎』


近鉄奈良駅から東向き通り、もちいど商店街を抜けて左折。
JR奈良駅からは三条通を通り、南都銀行のある角を右折、やはりもちいど商店街を抜けて左折。
どちらのルートでも大体10分で到着。
ホームページはこちら→http://www.naraizumi.jp/


現在奈良県内には32の酒蔵があり、その中から30の蔵・120種類の日本酒を置いて販売しており、1杯200円から500円で試飲もできるという魅力的なお店です。


こちらで見つけた、見慣れない言葉「菩提酛(ぼだいもと)」。
菩提酛とは、元は平安時代中期から室町時代末期にかけて正暦寺で作られ、織田信長も絶賛したという美酒・「諸白」を、1999年に奈良の研究チームが当時の製法を再現し、正暦寺で乳酸菌などを採取して使用することで、当時の味を実に500年ぶりに蘇えらせたもの。現在9つの蔵がこの菩提酛を作っています。
ちなみに『諸白』は当時としては革新的な、「生米」を使ったお酒でした。そしてこの『諸白』こそが現在の日本酒の原点。つまり清酒は奈良発祥なのです。


さあさあ行きますわよ。

倉本酒造株式会社の『金嶽 しょじゅん 長期熟成酒』。

『金嶽』の名にふさわしい琥珀色。こちらは原料にもち米が使われ、さらにワイン酵母を加えて作られたお酒を十年熟成させたという特徴ある古酒。味もシロップのような甘味で、とにかく日本酒の常識を覆す存在。
日本酒が苦手な人でも飲みやすい一本です。



油長酒造株式会社の『鷹長 鷹長 純米大吟醸』。


微炭酸のこちらは瓶火入無濾過原酒。通常パイプに通して加熱殺菌し、冷やしてから瓶詰めされる日本酒。しかしこちらはしぼったままのお酒にいっさい手を加えず氷温熟成させ、瓶詰めをしてから湯せんで加熱されています。

こーれーがーもーう美味しい!味がフルーティーで、これまた飲みやすい。最近日本酒の、一定量を超えたころに感じるべたつきのある甘味を苦手と感じるようになっていたのですが、これは実に爽やかでいい。シャンパンのような味わいです。初めてHoegaardenを飲んだ時の感動にも似た思い。
発泡系の日本酒は飲みやすいものが多いですよー。最近はまってます。
ちなみにこちら、なら泉勇斎が紹介されている今月発売の『あまから手帖』に載っているもの。たまたま私たちがいるときに黒猫さんが配達してきた雑誌をお店の方が見せてくださり、「私これ飲みたいです!」と言って出していただきました。既に開いていたものが残り極少だったため、新しい瓶を開けてくださいましたー(*´ω`*)




潮龍酒蔵株式会社の『吉野杉の樽酒』

酒樽材として最高と言われる、樹齢約80年の「吉野杉」の甲付材のみを使用した樽に樽添えさせ、一番いいタイミングを狙って瓶詰めしたお酒。口に含んだ瞬間に爽やかな香りが広がります。
最後まで買うかどうか悩んだ一本。今回すでに実家にハノイへ持ち帰るお酒を用意してあったため、この日買えるのは1本だけ。関税憎し!!結局購入したのは『しょじゅん』でしたが、次回はぜひ『樽酒』を買って帰りたいと思います!



八木酒造株式会社の『升平 菩提もと純米酒 古酒』

9年物の菩提もと古酒。こちら9年物で、醸造後に甕に詰めて3年熟成させ、瓶詰めをしてからさらに6年の時をかけて熟成させたもの。『しょじゅん』に比べるとあっさりとした味わい。


これでこの日の試飲終了。「美味しい」と思えるうちに終えるのが大切。私も大人になりました…
『なら泉勇斎』さんではおつまみも用意されていますし、またお土産として酒樽プリントの手ぬぐいや、オリジナルの法被、醬油やアイスも売られております。お酒を楽しんだら、こちらも是非。

聞けば日本の酒蔵は減る一方で、奈良の酒造も以前は41あったのが今は32。あの新潟でさえ、酒蔵の数が100を切り90いくつのみ。「日本酒ブームって言ってもねえ…」というのが日本酒を造り、売り、愛する者の言葉。
日本酒が苦手な人の気持ちも分かります。また、いまいち敷居が高いですよね。値段も安くはないし、また一度蓋を開けてしまったらすぐに飲まないといけないのも、ちょっと、ねえ。
そんな酒飲みのジレンマを解消し、心を満足させてくれるのがこのお店。こういったスタイルのお店は、日本ではあともう1軒、愛媛だったかどこかの(覚えてない)酒造組合さんがやっているお店があるのみだそう。新潟や秋田もやればいいのに!


関西にいらした際はぜひ!おすすめです。