river
ホイアンという街は、メディアでアピールされるその静かで穏やかなイメージとは裏腹に、実は結構過酷な町(のはず)で、殺人的な陽射しの夏が終わるころには、嵐がやってきて、町は水に侵されるのです。
河がこの町を支えてきた、それと同時に、河は幾度となく人を襲った。
そんな河を上って下る、クルーズツアーに参加しました。こんな空模様で船は出るのか…?
出ました。出港とほぼ同時に小雨がぱらつき、次第に雨が強くなっていく。
しばらくして空も河も穏やかになったころ。
鉄骨マニアにはたまらん、建築中の橋。
人、バイクや自転車、その他諸々を運ぶ渡し船。
市場。
本当に河を見るだけのツアー。しかし、私はとても楽しかった。船だの飛行機だのがそもそも好きなのです。
河を見るのは好きです。そこには人間や、数多の生き物の生活が、命が息づいている。生も死も包み込んで、河は流れ続ける。私が死んだら、遺灰はホン河に流してほしい、と、時折夫に話します。河の流れに乗って、どこまでもどこまでも遠くに流れて行って、そして、底に沈むころ、私のすべてが、行方知れずになって、私のことなんて誰も思い出さなくなる。誰も。