胡椒 from Cambodia
我が家ではベトナム産の塩、カンボジア産の胡椒を使っております。
ベトナムの塩は隠れた名産品で、特に飲食関係に従事する人々の間では結構知られているらしい。(らしい)
そしてカンボジアの胡椒。
古くからカンボジア産の胡椒の美味しさはつとに有名で、60年代のヨーロッパでは「世界一」との評価を得ていました。
それが人々の記憶から一旦消されることになった理由が、あの内戦。長く続いた戦火の時代に、カンボジアの胡椒農園も含めて、様々なものが壊滅状態に陥りました。
時は流れて90年代の後半。1人の日本人男性が、カンボジアの「世界一おいしい胡椒」再生のため立ち上がりました。
現在コットン州で生産されているそれは、伝統的な農法で栽培され、2011年には「国内オーガニック認定」を受けています。これはカンボジア産農産物では初めての快挙。安心で、しかも美味しいその胡椒は、多くの人に愛されています。
それが『クラタペッパー』。東南アジア、特にインドシナに興味のある人なら聞いたことがあるんじゃないでしょうか。クラタペッパーについては、こちらからどうぞ→クラタペッパーHP
さて、その胡椒、ぶどうのように房になって実るのですが、その房の中に1,2粒だけ赤い粒ができます。これが完熟した胡椒の実で、それを乾燥させて作られたのが「完熟胡椒」。最高品質の胡椒です。世界一美味しい胡椒の、最高品質。それはまさに、胡椒界の頂点!
で、それをいただきました!
夫が某所へ出張に行くことになり、聞けばカンボジアから前回のシェムリアップでお世話になったKさんもいらっしゃるとのことだったので、お願いしちゃいました。Kさん本当にありがとうございます。
うちにある胡椒と比べてみました。粒の大きい方がクラタペッパーの完熟胡椒。見ると色もやっぱり違います。
で、実食。これ、食べ比べてみるとほんとうに全然違います。
まず香りが違う。完熟胡椒は香りが柔らかく、あまり鼻を刺激しません。その味わいも同様で、そりゃ胡椒なので辛いんですが、まず口の中に爽やかな香りがさーっと広がって、それからすこしずつ辛みが舌を包んでくる感じ。
嫌なピリピリ感が残ることもありません。
何だろう、とにかく爽やか。そして柔らかい。香りも刺激も、普通の胡椒より柔らかい。なるほど果物のような味わい。
胡椒の粒を直に数粒食べて、私の顔も口も喉も結構えらいことになっているので、今私に書けるのはこの程度です。ヒーアツイアツイ
いやでも本当に香りがいいです。粒の香り自体は強くないのに、口に入れたらこんなに香り豊か。びっくりです。
ああ早く料理に使いたい。
こうしてカンボジアで失われたものを再生するために努力している日本人は他にもいます。遺跡、織物、ハーブ、音楽、そして雇用。
とにかくカンボジアは人命もお金もたくさん失って、さらには文化まで消え去ろうとしていたわけで。
形だけの国が存在しても、彼らの育んできたものがそこに存在しないのであれば、それは「国」として完全ではないわけで。
でもそれっていきなりお金に結びつくものではないし、いったん失くしたものをまたほぼイチからスタートさせるにはやっぱりお金が必要で、でもそれを彼ら/彼女らは持たなくて。
そこに手を差し伸べる人がいて、現地の人と一緒に何かを大きくしていっていて、しかもそれが日本人であるということは、本当に同じ日本人として誇るべきだし、尊敬しています。
ソシテジブンノダメップリヲオモイシラサレマス...('A`)
とにかくクラタペッパー、噂に違わぬ芳醇な胡椒でした!お店はプノンペンにあります。シェムリアップでも,
『Chai Angkor』で購入可。ただし、数に限りがあるようです。